健太のワイキキだよ、おっかさん!Part II

ワイキキのホテルマンによる、ハワイ情報!

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健太のアメリカンジョーク Vol.27

  「短編小説・支店長と老婆」


 ジャックはテキサス・タウン銀行の支店長である。
ジャックの支店長室の大きな窓ガラスからは、表通りの様子が手に取るように良く見える。
数字ばかりの一日を、どれほどその窓の景色がジャックの心を癒してくれていることか。
5代にも亘って支店長たちに酷使されてて来た黒いレザーの椅子から背伸びするように立ち上がったジャックは、鏡の前に立ってじっと自分の顔を覗き込んだ。

 深い皺には実直に過ごしてきた年輪が感じられ、鼻のしたのちょび髭と一寸突き出した下腹もそれなりに貫禄を示している。
<眉がずいぶん濃くなったもんだ、、、、、>
あごを引くようにして上目使いに自分の眉をつまんだ。

 ふとその時、鏡に映ったすっかり秋らしく色づいた街路樹を行き交う人の中に、黒ずくめの服に身を包んだ、鷲鼻の痩せた老婆の姿をジャックは見た。
まるでアニメの中の魔法使いを思わせる風貌である。
<あの婆さんだ!>
年のころは80歳を裕に越しているだろうがその足取りはしっかりしている。
この老婆が近頃頻繁にジャックの銀行に出入りしているのだ。
しかも毎回相当な金額を預金していると言う。しかも現金で。

 「ロレーンさんの一回の預金額は少なくとも3、4万ドルです!」
テラーのキャロルに以前何気なく聞いた時、そんな答えが返って来た。
すぐにコンピューターを調べたジャックはそのアカウントの内容に目を見張った事はまだ記憶に新しい。
口座を開いた時430万ドルほどだった預金額も、その時点で525万ドルになっていたのだ。

 つまり口座を開いて1年も経たないうちに100万ドル近く預金した事になる。
ふと我に返ったジャックは足早にフロアに出た。
「ハーイ、ロレーンさん!」
預金を済ませた老婆にジャックは声をかけ、日ごろの礼を述べると応接室に案内した。これも顧客サービスの一環である。
老婆はごみ臭く汚かった。
出されたケーキをズルズルと紅茶で流し込んでいる老婆にジャックは話しかけた。

 「ロレーンさん。いや、まことに毎回大金のご預金有難うございます。この町も大分景気は戻ったとは言いながらまだまだ。ロレーンさんのようなお客様は私共といたしましては大変貴重な存在でございまして、何とお礼を申し上げたらよろしいやら、、、、」
「-------フン!」
声にはならなかったが老婆はそう鼻であしらった。

 老婆は何を思ったのか急にソファーから立ち上がると、室内に飾られている剥製の鹿の前に立って突然その耳を引っ張った。
「バサッ!」
何と剥製の鹿の耳は無残にも引き千切られてしまった。
「まあ!」
見掛けに似合わないセクシーな声にジャックは身震いがした。
慌てて元に戻そうとする老婆だか、どうにもならない。
ジャックは優しく老婆の肩に手を掛けながらソファーに連れ戻した。
「良いんですよロレーンさん。ご心配なく。あんな剥製の鹿なんて安いもんですよ。ロレーンさんに差し上げる利子の一部とでも考えてください!」

 ジャックの言葉に老婆の表情が幾分明るくなったようだ。
「ロレーンさん、実は以前から貴女に一度お伺いしようと思っていたんですが、、、、」
老婆の表情に一瞬警戒心のようなものが走った。
ジャックは続けた。
「いやいや、どうって事はないんです。お答えになりたくなかったら、お答えにならないで構わないんですから、、、」
ジャックは少し間を置いて切り出した。
「実は、お聞きしたかったのは、その、、、、一体、、、」
そこで老婆がジャックの言葉を遮った。
「一体、こんなババアが、どうやってそんな大金を稼ぐんだ、てんだろ!」
「そ、そうなんです!」
ジャックは少し汗ばんだ額をハンカチで拭った。
「知りたいのかい?」
「、、、ハイ」

 老婆は黒い古そうな革のバッグからタバコを出して何の断りもなく吸い始めた。この応接室はもちろん禁煙である。ジャックは慌ててさっき出した紅茶の受け皿を灰皿代わりに差し出した。
「なーにね、一寸したギャンブルだよ」
「ギャ、ギャンブル?」
「ばくちだよ、ばくち!」
「ばくちって、あの、、、」
「そうさ、あのばくちだよ。ばくちを知らんのかねあんた!」
知らないどころか、ジャックはフットボール賭博の常連であるばかりか、年に3回の休暇をラスベガスで過ごす「ギャンブル狂」である。
ジャックの目が光った。
「フットボールですか、それともラスベガス?」
「馬鹿いっちゃいかんよ。あんな確率の悪いもんあたしがやると思ってんのかい!」
「じゃ一体どんな!」

 上づった自分の声にジャックは右手の人差し指をワイシャツの襟に突っ込んでネクタイを緩めた。
「フン、大した事じゃないって事よ、、」
ジャックは急かせるように言った。
「だから、どんな!」
「そんなに知りたいかい?、、、」
老婆はジャックの表情を確かめると、
「よし分った。それじゃこうしよう。あたしゃあんたと賭けをしようじゃないか」
「賭けをするって、何をどう?」
そう言って乗り出すジャックを、老婆はなめ回すように上から下まで見てから、力強く言った。
「あんたのキンタマは、三角だ!」
「-------」
「あんたのタマタマが三角だ、ちゅう事にあたしゃ5万ドル賭けたい!」

 突飛な老婆言葉にジャックは声を失った。
「ば、馬鹿なっ。私の、、、タマが三角だって?ははは、、、婆さん。いや、ロレーンさん本気でそんな事言ってるんですか?」
ジャックはこみ上げてくる笑いをこらえ切れなかった。
「何がおかしいんだい!あたしゃ真面目も真面目、本気も本気大本気さ。あんたのタマタマが三角だったらあたしの勝ちで5万ドルあんたから頂く。残念ながらあんたのタマタマが丸っぽかったら私の負け、5万ドル私があんたに払う。簡単なこっちゃないか」
「わ、分った。本気だとおっしゃる?」
「しつっこいね、あんたも!」
タバコをくわえた老婆は半ば怒ったように、火付きの悪いライターでテーブルを叩いた。
<どうやらこの婆さん本気だぜ!>
ジャックは応接室の内鍵を掛けると、老婆の座っているソファーの真ん前に立ちはだかり、ベルトを外そうとした。
「慌てものめが!」
老婆はジャックを一喝した。
「あたしゃ現金主義。今すぐこの目の前に5万ドル、雁首そろえて出しなさい!」
ジャックは時計を見たが既に3時を少し回っている。たとえ支店長と言えども、そう簡単に5万ドルもの大金を右から左へ操作できるわけどんない。面倒な事務処理もある。
「分った。ちょっと時間をくれ、直ぐに用意させるから!」
「どうかね。あたしだって、せっかく預けたいまさら下ろすなんて勿体無い。そうさな。今週の金曜日、今週の金曜日午後3時、互いに金を持ち寄って、ここで『勝負!』って事じゃ?」
ジャックは大きく何度も頷いた。

 金曜日。ジャックは朝からそわそわ落ち着きがなく、何度もタイポ(ミスタイプ)をしてはゴミ箱を丸めた紙で溢れさせていた。
<俺の勝ちだ!絶対に5万ドル、今日の3時にこの手に入れてやるぞ!幾らあの婆さんが魔法使いに似てるからって言ったって、俺のキンタマを3角になんて出来やしない!>
そう心の中で何度も叫んでは、自分の下半身に手をやりズボンの上から触ってはそれが楕円形である事を確かめた。

 昼過ぎに一本の電話が老婆から入った。
「支店長さん、実はよくよく考えてみたんだが、5万ドルと言やあ大金だ。あたしの弁護士を一緒に連れて行きたいんだが、どうかね?」
「えつ、しかし、、、」
ジャックは惑った。
「そうかい。いやだったらこの話はなかったことにしておくれ。あたしだってちゃんとした証人が必要なんだ。なんたって5万ドルだからね。残念だったね支店長さん。じゃまた!」
老婆は電話を切ろうとした。
「ま、待った。よろしい。だが確かにその人は弁護士なんでしょうね?」
「ああ、間違いないさ」

 午後3時。ジャックの待っている応接室のドアがノックされた。「どなた?」
わかっているくせにそう言ってドアに近づく。言葉では相手を確かめているものの、直ぐにジャックはドアを開けた。
そこには案内嬢に付き添われた老婆と、メガネを掛けた50代と思しき細身の男がブリーフケースを持って立っていた。
「どうぞ中へ」
ジャックは案内嬢をそそくさと追い返すと、二人を応接室に招きいれた。
「こちら弁護士のロジャーさん」
老婆はメガネの男をそうジャックに紹介した。
「弁護士のロジャーです、はじめまして」
差し出された名刺には確かに弁護士と書かれてている。
互いに自己紹介が終わると、3人は中央のソファーに向き合ってセンターテーブルを挟んで座った。
片側にジャック、反対側に老婆と弁護士。
短い沈黙の後老婆が弁護士に言った。
「お金を」
ロジャーと名乗る弁護士はブリーフケースを開け、札束が見えるようにテーブルの上に置いた。
ジャックも同じように用意してあった札束を出してテーブルの上に載せた。
「それじゃ、支店長さん!」
老婆は今まで聞いたことないような甘ったるい調子で言った。
<気持ち悪い婆さんだ、、、>
老婆の声に吐き気を催しながらも立ち上がったジャックは壁を背に立った。

 ジャックは直ぐにベルトに手を掛けると思い切ってズボンを下ろした。
と、ほぼ同時だった。
何時の間にかジャックの前にしゃがみこんでいた老婆は、素早くジャックのブリーフを下ろして、しっかりとジャックの一物を掴んだ!

 「ロジャー、あんたの負けさ!」
老婆の叫びに、ジャックは一体何が起きているのか分らなかった。
弁護士のロジャーが真っ青になって立ちすくんでいる。
「ロ、ロレーンさん、これは一体、、、?」
老婆はテーブルに戻って弁護士の置いたブリーフケースの札束を数えながら言った。

 「なーに、あたしゃこの弁護士のロジャーと10万ドルの賭けをしたのさ。『あのタウン・銀行のちょび髭でお澄まし屋さんの支店長のキンタマ、を掴んでみせる』ってね。ロジャーは言ったよ『そんな事が出来るわけがない』ってさ」
言い終えると札束の一部を小脇に抱えた老婆は足早に立ち去っていった。

 写真は、今日のヒルトン、イリカイの見えるアラモアナ・ブルバード。

 Part I、ワイキキに「美人カメラマン」現る!

 明日から一週間日本に行くのでお休みします。Part Iは出来るだけ日本で更新してみます!

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  1. 2005/09/28(水) 12:55:15|
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